活動

2023.05.27

災害後の親子の心のケア(福島・東日本大震災)

東日本大震災後の福島県にて行われた親子の心のケアについて紹介します。災害・紛争・戦争などの緊急時の親子の心のケアのknow-howとして参考にしていただければ幸いです。当記事は2021年世界乳幼児精神保健学会(WAIMH)でのシンポジウム発表を元に作成しました。当記事の情報は2021年時点のものです。(演題:福島緊急事態後の親子のための遊び療法 2つのアプローチ 「親子遊びと親ミーティング」と「箱庭療法」, 演者:NPO法人ハートフルハート未来を育む会 臨床心理士 成井香苗)

結論

1,[親子遊びと親ミーティング]の支援は、ストレスを解消し愛着を促し親たちの育む力を引き出す場として有効でした。
 そもそも親と子が向き合って遊ぶことは、愛着を形成する互恵的な相互作用が活発になる活動ではありますが、土着の文化のわらべ歌を用いることで、よりたやすく深く「愛着」が形成されました。revarthen, C.と Malloch, S.が提唱した Communicative Musicalityが効果を上げました。親たちはグループミーティングによって、エンパワメントされました。多職種が協働しコンボイとなって、子育ての孤立化を救いました。
 私たちは、何回か継続してこの支援を受けると子どもたちの笑顔が増え、問題行動が消え成長が促されたのを目撃しました。

2,箱庭療法の事例は、PTSDを克服し衝動をコントロールできるようになり社会性が促されました。
 特に言葉が完成する前に被災した乳幼児にとって、そのトラウマは体に感覚として刻まれています。その感覚をイメージとして表現できるHAKONIWAは、遊びながら安全にその感覚を浄化することができました。親にも伝わりやすく、愛着の形成が促されました。その結果、情動のコントロールが可能になりました。

展望

展望
1,危機が多発する今日、その土地の歴史と文化を取り入れた遊びで愛着を促し、親同士の語り合いで子育ての孤立化を防ぐ「親子遊びと親ミーティング」、この支援は、子育て支援として機能しつつ災害支援としてグローバルに展開されることが望まれます。
 なぜなら、地球上どこでも原発は存在し、地球温暖化から洪水も多発しているからです。COVID19もそうです。そうしたとき乳幼児の健やかな成長を脅かすのは、子育ての孤立化と愛着障害なのです。

2,今後はゲームやネットに依存した子育てをやめ外遊びの文化を取り戻す努力が必要です。
 今のところネット・ゲームは、子どもたちの情緒性や社会性の発達を阻害し衝動的刹那的にします。親のSNS・ネット依存も相まって、愛着の形成を損なう傾向にあります。
 子どもが外で集団で遊ぶことは、身体能力の発達とともに社会性・情緒性を育みます。ネットの利用を工夫していくとともに、外遊びが楽しくなる工夫も子どもたちに提供していくことが望まれます。
ご清聴ありがとうございました。これからも福島と私たちの活動を応援してください。またよろしくお願いいたします。
44 件
〈 4 / 4 〉

Related