この活動は、保育士による「親子遊び」と、心理士による「親ミーティング」を組みわわせた支援活動です。親子遊びによって、親子の愛着促進とストレス解消を図り、親ミーティングによって保護者同士の支え合いを促進します。市区町村保健師による親子の事後フォローも組み込むことができます。保育士・心理士・保健師などの多職種協同の支援です。
*執筆:ハートフルハート未来を育む会
*この記事は2016年までに執筆された文章を再構成したものです。ニーズなどの項目は2016年当時のもので、現在(記事作成時2021年)の状況とは異なる場合があります。
背景と目的
東日本大震災・原発事故後、長期化する避難生活や低線量被ばく不安により、小さな子どもを抱える親子ほどストレスが大きく、心のケアを必要としています。子どもの心のケアにはその保護者の安定が肝要であり、コミュニティ内でのサポート体制が不可欠です。臨床心理士と保育士、保健師、助産師、栄養士、子育て支援員など地域の多職種が協同する支援方法です。
対応する課題
・
東日本大震災・原発事故後の心のケア(福島)
・放射線不安
・コニュニティの分断
・子育ての孤立
概要
この支援は、保育士が親子ふれあい遊びを30分行い、親子の愛着促進とストレス解消を図ります。その後、臨床心理士が親ミーティングを40分行い、保護者同士の話し合いをします。事前の打ち合わせとカンファレンスで情報提供を行い、市区町村保健師は支援の中で気になった親子を事後フォローするという多職種協同の支援です。
また必要に応じ、臨床心理士による個別相談も実施し、個別フォローも行います。それぞれの得意分野を活かし、補い合って行う継続的なコミュニティ支援です。
実施手順
1. 事前準備
<支援対象>
未就学乳幼児(0~6歳)とその保護者。地域保健師は広報や検診時などの機会にこの支援への参加を呼びかける。日ごろ心配な親子に個別に参加を呼びかけるのも必要。
<会場の設定>
保健師は、地域の保健センターや子育て支援センター、公民館など参加親子が集まりやすい会場を設定する。
<開催日時>
乳幼児親子がゆとりを持って集まれる時間帯。午前中の方が望ましい。午後は子どもがお昼寝をしたり、保護者も忙しい。
<準備物>
親子遊び用のおもちゃ、絵本(保育士が親子遊びの内容に合わせて用意)水分補給用のお水・お茶・紙コップ、名札、保護者は床に座ってミーティングをするので会場によってはマットや敷物
2. 実施手順
①受付開始 9:30~10:00
事前申し込み当日参加いずれも名前と年齢を確認し名札を付ける
②A 事前打ち合わせ 9:30~10:00
スタッフは本日の支援のスケジュールを確認。出席者の事前情報があれば伝え合う。
②B 自由遊び 9:30~10:00
参加者がそろうまで。
③始まりの会
地域保健師が挨拶をしてから参加スタッフを紹介する。保育士が楽しく子供たちを呼名し参加親子を紹介する。
④親子遊び 10:00~10:30
保育士がプロデュース。他のスタッフは遊びの進行をサポート。愛着と基本的信頼感を確認する遊び。親子のストレスを解消し元気を取り戻す。
⑤親ピア・ミーティング 10:30~11:30
臨床心理士がファシリテート。他のスタッフもミーティングに参加し、保護者の気持ちを受け止める。
⑥終わりの会 11:30~11:35
親ピア・ミーティングの後、再び保育士により親子遊びを終わりにもっていく。地域保健師が会を閉じる。
⑦スタッフ事後ミーティング 11:40~12:00
参加親子が帰ると、スタッフが集まり今回の支援を振り返り検討する。地域の保健師らに対処をお願いし、支援が連続性を持つようにする。
(検討点)
・遊びは適切で効果的だったか?
・ミーティングではどんなことが語られ参加者の反応はどうだったか?
・心配になる子どもや保護者はいたか?
・今後どんな配慮が必要か?
・相談機関や医療につないだり、継続的に個別に対応する必要のあるケースは?