この活動は、保育士による「親子遊び」と、心理士による「親ミーティング」を組みわわせた支援活動です。親子遊びによって、親子の愛着促進とストレス解消を図り、親ミーティングによって保護者同士の支え合いを促進します。市区町村保健師による親子の事後フォローも組み込むことができます。保育士・心理士・保健師などの多職種協同の支援です。
実践の様子
2011年~2013年
2011年は避難所となっていたリステル猪苗代での実践から始まり、外で遊ぶことのできない子ども達にとっては体を動かし、お母さんと楽しく触れ合える場となりました。親は避難生活の大変さやよくわからない放射能(線)の影響についての不安について語り合いました。「ここに行けば支援物資がもらえるよ」「新しいのができて、うちはがん保険に入ったよ」といった情報交換の場にもなっていました。余裕のなくなった親と触れ合える場は子どもたち達に安心感を与え、絆を結ぶ場となりました。同じ会場内で子どもを託児してくれる保育士がいることで子どもから離れられる時間、大人同士で話ができる時間ができた親にとってはリフレッシュできる時間となりました。
福島県臨床心理士会東日本大震災対策プロジェクト時の実施概要
2014年〜2016年
この支援は、福島に住む親子が安心して参加できる場となっており、「このまま福島で子育てをしても大丈夫なのか」「子どもの健康に影響が出ないか」「将来、子どもに何で福島に居続けたのと言われた時にどうしたら良いのか」「将来子どもが風評被害にあうのではないか」など、低線量汚染下で不安を抱えながら子育てをする親子に寄り添い、支え続ける支援として継続してきました。市町村によって実施回数は様々ですが、当会に引き継がれた2014年4月から2016年3月まで、月に1回程度同じ会場に行き、全県下17市町村で、延べ9,000人以上を対象実施しました。
参加者の反応
親子遊びでは「こんな遊びがあるんだ」「これなら家でもできそう」「もっとわらべ歌を知りたい!」という方も多くいました。
親ミーティングでは「他の方の体験や意見も聞けてよかった」「他では話せないことが話せた」「今まで話すことがなかったけど、話せてよかった」という方もいました。親ミーティング中は保育士が託児をするため「(いつも子どもが離れてくれないため)少しでも安心して子どもと離れられる時間が合って良かった」「子どもに罪悪感なく背を向けることができ、話したいことが話せた」という方もいました。
リピーターも多く、毎月欠かさずに参加してくださった方もいます。
震災後、当会の親子遊びと親ミーティングをきっかけに、福島県内で親子遊びが多く開催されるようになりましたが、当会の参加者にとって、子どもと楽しく過ごせるだけでなく、専門家である保育士や臨床心理士に直接目で見てもらった上でアドバイスがもらえる、相談に乗ってもらえる、悩みや不安を出しても受け入れてもらえるということもポイントになっています。